肺炎球菌ワクチンについて

今年から公的助成が開始された肺炎球菌ワクチンですが、お電話でのお問い合わせが多く、いくつか気になった点がございますので、簡単に説明をしておきます。

①公的助成を受けられるのは、今年4月2日~来年4月1日までに、満年齢で65,70,75,80,85,90,95,100歳以上となる方々です。4月の1日と2日に境界線を引いたのは、学校教育法に基づく年度替わりに合わせているそうです。

②助成が無くとも、従来自費診療にて肺炎球菌ワクチン接種は国内で広く行われており、いつでも受けることは可能です。ただし、ワクチンが高価なこともあり、医療機関によって金額はマチマチですが、8000円~15000円くらいだそうです。当院では8000円でいつでも受け付けております。

③今回の助成金の案内から、また5年経ったら受けられるように思っている方が多いようですが、現在の制度は「これから5年間で65歳以上になる方々全員に1回ずつ受けていただく」ものであり、5年に1回受けるワクチンというわけではありません。今のところ日本では「生涯に一度受ければ良い」という考えです。(免疫が弱る疾患にかかっていたり、体力低下状態にある場合は例外です)

④米国では、5年ごとに受けることができる。これは事実です。ただし、公的保険が日本ほど整っていない米国では一度肺炎になると数十万円の医療費がかかることから、多少副作用等のリスクがあっても5年毎の接種を希望する人が多いというだけのことです。

⑤ワクチンの有効期間は、受ける方の体質などによって様々ですが、肺炎球菌ワクチンは一度接種すると4年後に約80%、5年後に約70%、抗体が残っているようです。インフルエンザワクチンで作られた抗体の有効期間は接種後2週間から約半年と言われますので、その違いが歴然としています。

⑥インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの接種は同時でも大丈夫?かと問われると、「概ね大丈夫」としかお答えできません。一般に連続して予防接種(ワクチン接種)を行う場合、不活化ワクチン接種後は次のワクチンまで6日以上空ける、生ワクチン接種後は次のワクチンまで27日以上空けるのが通例です。肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチンはいずれも不活化ワクチンですので、どちらを先にしても6日以上空けるのが良いと思われます。ただ、同時にしても問題はない(過去の報告に基づく)とも言われます。

⑦最近肺炎球菌ワクチンを受けた人が、また受けてはいけないのかという、お問い合わせがございますが、先ほど書きました通り、長期間抗体が持続するので、必要はございません。血液中に抗体が十分存在する状態でワクチン接種を受けると副反応が強く出る可能性もありますので、接種するタイミングについては主治医とよく相談すべきと思います。

以上、情報ご提供まで…

 

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